今日、ホームレスになった13のサラリーマン転落人生

東芝も大量リストラのニュースが報道されました。今日は、ちょっとネガティブな話になりますが、ホームレスになってしまった方々の本です。ほとんどの方が、いい会社に勤め、家のローンを組み、50代でリストラされ、再就職できず、家のローンが払いきれず、妻に見放され離婚し、ホームレスになるケースが多かったようです。ここで紹介されている方々は、ごく一般のサラリーマンの方々で、どんなサラリーマンもホームレスになる可能性があることを伝えています。

今日、ホームレスになった13のサラリーマン転落人生

かつては日本は世界でも例のない平等な国といわれていた。就職すれば勤続年数に比例して賃金が上がり、よほどのことがない限りクビ切りもなかった。オイルショック、円高不況を乗り切った後は、バブル景気もあって「一億総中流」という意識があった。ところがバブル崩壊後に社会は一変。企業はバタバタと倒れ、今日では、「失業」という言葉が我々の身近なものとなった。ここに登場するホームレスたちの人生行路は決して他人事ではない。

中高年は会社で厳しい立場にいるけど、絶対に自分から退職しないことだよ。いびられたって馬鹿にされたって会社にしがみついていた方がいい。特に大企業にいた人は、外に出たら自分の力なんて屁みたいなものだったと思い知らされるよ。絶対に辞めちゃ駄目だ。失敗した私が言っているんだから間違いない。

外資というのは非情だからね。儲けられない者はガスの切れた100円ライターみたいにポイ捨て。長く勤めるところじゃなかったね。

大阪は東京よりホームレスのおっちゃんが多くてね。まだスーツを着て働いてたときは梅田や難波でそういう人たちを見て「ああはなりたくない」と思っていたけど、簡単になってしまった。何が悪かったんだろうと思いますよ。

大学まで出て、比較的大きな会社で管理職をやっていたけどそんなものは何の役にも立たなかった。サラリーマンなんて会社がコケたら一巻の終わりってことさ。身にしみて分かったよ。もう希望はなくなった。このまま死んでどこかの無緑墓地に葬られておしまいだ。

退職後は時間を置かず再就職先を探しましたが空振りの連続でした。建設業界は大手も中堅も券並み業績不振だから、若手や技術者ならともかく、50代の営業職を中途採用するところなんてありませんでした。

会社なんて冷たいものだ。30年も勤めたのに、たった一枚の紙切れで事実上クビ切り宣告でした。会社から見れば一社員なんてのは、たんなる消耗品なんだ。人を何だと思っているんだろう。馬鹿にするなといいたいよ。ホームレスなんて遠い存在だと思っていたけど、いざ失業すると、簡単になってしまうものだった。まさかっていう感じだ。

人間、どこで立場が変わるか分かったもんじゃないよ。

面接の時必ず年齢のことを言われましたね。「若い世代の人とうまくやっていけますか」とか「50すぎで入社したとして、どれだけうちに貢献してくれるんだ」とかね。もう、怒るとか腹を立てるというよりあきれてしまいました。年齢の高さはその人間の能力や人格まで否定される要素じゃないと思うけど、どこへ行っても年齢が高すぎると言われて、馬鹿らしくなってしまいました。

年を取るのが悪いのか。

役人や政治家が滅茶苦茶にしておいて、何で僕らがそのツケを払うんだろうね。おかしいと思いませんか?

募集条件では55歳までとなっていた会社でも面接してみると「あなたの年齢では同僚とはうまくやっていけない」なんて言われて不採用です。資格や専門的能力のない元中小企業の事務職なんて売り込めるものがないというわけなんです。

私がやったことは会社の命令なんだ。嫌な役目を押しつけ、利用するだけ利用した挙げ句が解雇通告だ。私の人生は滅茶苦茶になってしまった。会社に対しては恨みしかありませんよ。つくづくサラリーマンというのは悲しいものだと思います。生まれ変わってもサラリーマンにだけはなりたくない、もう嫌だね。

今回、多数のホームレスに話を聞いたが、彼らの来歴は決して特別ではなかった。今現在の彼らは汚れて悪臭を放ち、みすぼらしく生気のない顔をしているが、現在ではなく過去を見れば、私たちと彼らはまったく同じところにいたのが分かる。世間一般の人々はホームレスに対して「あの人たちはまともな社会生活のできない欠陥人間なんだ」と異端視し、「ホームレスのような人間と自分は違う」と思いがちだがそうではないのだ。 

今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生