新しい資本主義

金融工学を使って取引している自分は、怒られている気になりました。あとは「大企業になると働かないで給料だけは多く取ろうとする」のはよくわかります。今の会社も上場前と後では、違いますね。全ての人でありませんが、出世思考の高い人が多くなりました。筆者の出されている国富論と内容がかぶるので、明日にでも国富論ポストしますね。

「新しい資本主義」
あまりに儲かって、実際に会社をつくっている人間よりも、そこに投資した人間の方が高いリターンを得る事になった。そうすれば、苦闘奮闘し、知恵をしぼり、リスクを覚悟して製品化の高い山を超えていくより、金融だけで設けたほうが効果的、という考えが蔓延しはじめる。そのような流れが逆に、実際に価値を生み出す産業を食いつぶしていくことになる。株価がもっぱらROEに連動するようになり、経営陣がこの指標にとらわれすぎると、「短期間に株価を上げなければ評価されない」という脅迫観念を抱くようになる。

金融工学、金融は産業の主役ではなく、産業に力を与える脇役であり縁の下の力持ちなのだという本来の己の分限をわきまえていなければ、同じ理論で自己肥大と自己崩壊をくりかえすしかない。金融工学を使って儲けようなだという考えは、厳に慎むべきなのである。著名なヘッジファンドが何十兆円も儲けた挙げ句に慈善活動をやるのを誉め称えるようなメディアはアメリカにもたくさんあるが、ちゃんちゃらおかしい。

会社が小さい段階で、みんなで目標を共有し、会社に貢献しよう、会社に尽くそうという熱意をもって参画していく。そしてそのような会社の方が、むしろ社員個々人の幸福感も高い。ところが大会社になっていくと、だんだん「なるべく働かないで給料だけは多く取ろう」などといった意識ばかりが高まってしまう。組織は弱まり、個人は大切にされず、幸福感も低下してしまう。

「お金をもっていることこそが幸せ」あるいは、「幸せになるためにはお金儲けをしなければならない」などという考えが多いに広まってしまった。私はベンチャーキャピタルとして富豪を500人以上は生み出してきたが、見ているとみな、その後ろくな人生を送っていない。お金というもは、「幸せになりたい」という夢をかなえるための道具にすぎない。必要以上のお金を手にすると、かえって真の目的はかなえられなくなるものである。目的は、必要な金額よりちょっと少ないくらいのお金をもっているときにこそかなえられるものであって、お金がありすぎたら、目的は絶対にかなわない。

新しい資本主義 (PHP新書)