中国貧困絶望工場

古いかもしれませんが、2008年の本です。最後に、ジャーナリズムのアレクサンドラ・ハーニーのコメントが印象的でした。

「中国貧困絶望工場」

「法定基準を満たしたいと思うならば、生産コストをここまで引き下げることはできない。だからこそ、大半の工場が二つの工場をもっているのだ。一つは取引先に見せるための工場であり、もう一つは実際に生産する工場だ。

「一番の悩みは従業員が短期間でもっと稼ぎたがっていることだ。どこかの工場が残業を認めると、従業員は皆そこに集まってしまう。それほど残業をやりたいのだ。よく言われるよ。「ここには休暇で来たわけではない。カネを稼ぐために来たのだ」とね。残業がなければ、この職場には人がいなくなるだろう」

 ウォルマートのルールを守っていたらまともな利益は得られず、ビジネス自体が長続きしない。まず、ウォルマート対策用にタイムカードを新たにワンセット作成し、本物のタイムカードは別の場所に保管する。従業員にはウォルマートが求めている面接時の答え方を指導する。あるいは別途新工場を立ち上げたという人もいる。この工場はウォルマートの監査を受けたことはないが、とにかく納品用の製品を生産している。要するに、下請け工場という位置づけだ。

 アレクサンドラ・ハーニーさん:

安い製品の裏に人間がいる。中国の工場長たちが、不正をしてまで価格を下げようとするのは、厳しい競争にさらされているから。世界中の消費者は、自分と関係がないと言い切れるのか。中国からの安い製品の裏に、私たちと同じように希望を持ち、笑ったり、悲しんだりする人たちがいるということに気づいて欲しい。

中国貧困絶望工場