バカボンのママはなぜ美人なのか

男性の私が読むべきでなかったのかもしれませんが、女性の嫉妬に関しての本です。他の家族の「素敵な旦那さん」や、「家族の幸せ」に嫉妬する女性の気持ちが書かれています。私も前々から思っていたのですが、SNSの影響で他の人の幸せを見ると自分が不幸に思えてしまうというのは、筆者に同感ですねー。あまり他の人の幸せと自分を比べないことですね。

バカボンのママはなぜ美人なのか
自分にないものを持っている。そして幸福である。(少なくとも、そう見える)。しかも、その幸福を苦労せずに掴んでいる。こうした条件がそろった相手に、私たちは強い嫉妬心を抱くのだと思います。

容姿や能力についても、小学校時代までは、誰かに嫉妬を覚えることはありませんでした。それが、なぜ中学校に入った頃から変わってきてしまうのか。これは重要ですが、「恋愛」です。日々の生活に、「恋愛」というファクターが、かなりの幅をきかせて居座って来るのです。思春期というのは残酷なことですが、自分が集団の中でどの位置にあるかという現実を思い知らされていくプロセスでもあります。つまり、何かにつけて周りとの「比較」が始まるのです。

別に美人でもないし、大して成績もよくないのにモテるタイプが登場してくるのです。つまり、それは「色気」で仕掛けてくるタイプ。名付けて「色気軍団」です。そういう女子のモテ方の特徴として、クラスの男子が一人でも「あの子が可愛い」というと、クラス全員の男子が「可愛い」と言い始めて、可愛いことになってしまう。いまだに同窓会で女子が集まると、「なんで、あんなに可愛くない子がモテたの?」と話題に上るくらい、それは腑に落ちないことでした。かつてのおニャン子クラブの新田恵理さんがそのタイプだと思うんです。

女性は無意識のうちに、常に誰かと自分の幸せくらべをしてしまいがちです。女性はいくつになっても、自分がせめて人並みに幸せでないと安心できないものなのです。そして自分より幸せな人を見ると、嫉妬の気持ちがかき立てられてしまう。自分が持っていない幸せを、自分と同等、もしくは自分よりも少し「下」に思える人間が手に入れた時、嫉妬は生まれます。女性の場合は、その「ほしいもの」は年齢によって、暮らし方の変化によってどんどん変わって行きますが、それぞれの「持ち物」を数えて、幸せくらべをするという行為は続いて行くのです。

美人であるというだけで恩恵を手に入れようとしている女性には、怒りを抱きます。彼女がどんな恩恵を受けようとたくらんでいるのか、その下心が見えた時、周りの男なりがそのことに全然気づかずにちやほやと恩恵を与えてしまっている時、また違う種類の嫉妬が芽生えます。

「男を惹きつけよう」という魂胆が見て取れる。「自分はこれで男を惹きつけて、特権を与えられているのよ。持っていないあなたたちとは違うのよ」しかし困ったことには、こういう女にコロッとひっかかる男が多いのも事実です。

自分の努力の結果ではなく、最初から生きていくのに有利であるであろう手段すべてを手にしている存在に人はものすごく腹が立つのです。

「雰囲気だけお嬢様」に男は弱い。

自分が持っていない物を誰かが持っているときも、女はその人に対して嫉妬を覚えることがあります。そういうものを持っていると、自分がきっとちやほやされるんだろうなと思うからなのです。

すごく高価なものを「彼に買ってもらっちゃた!」とあっさり自慢する女。彼女が自慢したいのは、品物そのものかというと決してそうではなく、「私はそれだけの価値のある女なのよ」ということなのです。

毎日のように更新されるブログやSNSでこれでもかと見せつけられると、嫉妬の念もふつふつと湧いてくるものです。

女は幸せに嫉妬し、男は成功に嫉妬する。「名刺やカードや車というのは、男にとって自分を表現する一部なんですよ」女は実体のないものに幸福を見いだすけれども、男の場合は、具体的に表せるものにしか幸福を感じない。

女は「素敵な旦那さん」という言葉に弱く、また嫉妬も覚える。

嫉妬するということは、自分が手に入らない物を相手が持っているということですが、それがその人の職業そのものだったり、生き方そのものだったりすることもあるわけです。例えば、決して売れている訳ではないけれども、小さな劇団で女優を一生懸命やっている友人。生活は楽ではなさそうなのだけれども、どうしても彼女に嫉妬してしまう。

毎日、子供のためにつくったきれいなお弁当がアップされていたり、今日はどこそこ行きました、ごはんを食べました。きれいな写真ばかり。ママタレなどのブログを見ていると、旦那さんは家事を手伝ってくれて、子供は可愛くて、いかに自分が幸せかということを、これでもかと出している。それを疑いなく素直に読んでいると、とりたててこれというできごともなく暮らしている私は不幸なのかしらと何だか不安にかられてしまうほどです。

普通に日々の暮らしを送っていて、ここまでのことがあるわけがない。必死で作り上げているようにしか見えないのです。

みんなにうらやましがられるような生活に仕上げるために、自分の理想の暮らしを当てはめて行く。そして、それに協力的でない夫のことをすごく責めたりするのです。それがつらくて、男は若い女に走る。というのはよくある話です。特に、実はあまり幸せでない人ほど、こうやって形から入るという傾向もあるような気がします。

バカボンのママはあんなパパと結婚して。悪いけど羨ましくないわねと思われる。いくらママが容姿端麗でも、あの夫と子供がいるということで、ママの幸せは、いわゆる「完璧」ではないのだ。このパターンを目指せば、自分も嫉妬しなくてよくなる上に、いわれなき嫉妬に巻き込まれることもない。目指すべきは、このバカボンのママだろうと私は思っているのです。CMでも、この法則をうまく使っているのだそうです。ものすごい美人の女優さんに妻を、さえない男に夫を演じさせると、視聴者のウケもいい。

嫉妬される人より、している自分の方が醜いのです。

(002)バカボンのママはなぜ美人なのか (ポプラ新書)