ウラを取るには

政治家や財務省の人達の特ダネを書く記者。経済記者を目指す方には必読でしょうが、記者希望でなくても、ドキドキして読んでしまう本ですね。人から情報を得るための努力がすごい。インタビューした時の相手の表情で裏をとるとは。心理戦にも強い経済記者さんには、全て見抜かれてしまいそうですね。

日経新聞の真実

本書を読まれた方のすべてが、経済記事の本質を見抜けるようになれば、メディアの質が向上し、ひいては日本社会全体の利益になると信じています。

今の若者達は高度経済成長もバブルも知らず、ずっとゼロまたはマイナス成長の時代を生きてきました。こうしたことは、世界の資本主義の歴史においてなかったことです。所得は物価以上のスピードで下がり続け、現役世代は年金受給世代を養うどころか、自身や子供たちの生活を支える見込みも立ちません。

新聞記者はしょせんはサラリーマンです。上司からの圧力を気にする事なく比較的自由に取材をして思うままに記事にできるようになるのは編集委員になってから、と言っても、相当の実績を積んだ大物記者でなければ無理です。管理職になるには、記者としての能力とともに、リーダーシップと、ある種の政治力が求められます。

事前に徹底的に調べる。相手も記者を見る目が変わるものです。常に相手の顔色をうかがい、相手におもねることが「食い込む」ことと考えるのは大間違いです。

「事実ですか?」ということらの質問に対して、相手が「そうです」と認めてくれれば満点ですが、「うなずく」か「ノーコメント」でも表情をみれば察しがつきます。そのために、これをもって「裏が取れた」とみなすこともあります。

「この記者なら打ち明けても悪いようにはならない」とか、「この記者に隠すとまずいことになる」などと計算しているのです。

局長は質問を遮って、「これからお手洗いに行く。でもこの机の上の資料は見てはいけないよ」と意味深な言葉を言い残し、資料を裏返しにして部屋を出て行ってしまったそうです。このとき、後輩記者はどうしたでしょうか。もちろん、さっと資料を取り上げ、何食わぬ顔で近くの部屋に行き、資料のコピーをとって、もとあった場所に戻したと言います。この局長は、記者がそうすることを想定して、中座したわkです。こうした人間の心理を理解して、うまく「自白」に誘導できる記者こそが、多くのリークをてにすることができるのです。

日経新聞の真実 なぜ御用メディアと言われるのか (光文社新書)