人脈作りのために会合ばかりしない

ユニクロ社長の本です。会社の中で、人の行動や、気持ちを察する観察力が非常にある方だと感じました。他のビジネス本では、「人脈づくりのために、積極的に会合しろ」という本もありますが、自分がその考えと違えばそうではないと主張する筆者は、自分の考えをしっかりと持たれているなーと感じました。

柳井正の希望を持とう」

日本人は周囲のムードや相手の事情を気にするあまり、本質的なことを忘れてしまうところがある。日本人の悪いところと感じたのが、最初にやろうとしないことだ。節電や自粛でも、そして、議損金、寄付行為でも、最初に手を挙げようとしない。誰かがやった後で、それに合わせてやっと始める。金額さえ横並びにしようとする。これからは自分の頭で考え、自分で判断した事を自分で実行することだ。周囲に合わせるのではなく、最初に手を挙げる事が重要なのだ。

私も大学時代は本当の自分とは何か、などと日々悩んでいた。自分の内側を見つめても、結局、何も生まれないし、解決も出来ない。ほんとうに成長を考えて、準備をしている人間にしか未来はやってこない。人生は一回きりだ。解決できない事を悩んでいる時間はもったいない。それよりも精一杯生きることを頭のなかに描いて日々過ごす。

会社を経営したことのない人はどこか勘違いをしているところがある。彼らは、危機感を持たず、追い風を受けて前に進んでいる状態が「正常な経営」と考えている。

今の日本には、そこそこの生活でいい、というようなあっけかんとした気分が蔓延しているように思えてならない。若者から働き盛りのビジネスマンまで、「課長になればそこまででいい、あとは趣味の世界で生きる」とか、そんな怠惰な思想に染まっている。しかし、現実は社員が「そこそこ」働いているような企業はつぶれるしかないのだ。

「本を読む」といは書いた人と対話することだと思う。本の内容をいくら暗記しても、そこに大きな意味はない。今でもそうだが、私は本を読みながら線を引く。覚えるためでなく、頭のなかをまとめるために線を引きながら読む。また、店の従業員に対しては自分の考えを伝えなくてはならない。自分の考えだけでは表現が未熟になると感じていたから、本からエッセンスを抜き出し、自分の考えを補強していくことにした。


人を見る事。仕事相手としてこういう人が良いと思ったのは、当たり前の事だが、「信用できる人」だった。期限を守らない人、何事にもルーズな人とは一緒に仕事をしたくない。ルーズな人は相手の立場など考えずに適当な仕事をする。それでは、一緒に仕事なんてできないし、まして信用するのは無理だ。人間相手の取引の鉄則は、まず自分が約束を守る事。何度も約束を破る人とは取引をやめるしかないだろう。

「商売人は金がなくても、持っているようにふるまえ」「金がない」とこぼしてばかりいる人間を信頼するビジネスマンはいない。派手な金の使い方をしろちうわけじゃないが、金がないことを周囲に吹聴することはない。

作業を割り当てるには、働く人の事、状況を考えてやらなきゃならない。小さな子供がいるお母さんスタッフ、体調が悪いスタッフは早く帰らせる。月の初めにシフトを決めたら、何が何でもそれを守るという人に店長はできない。

夜の付き合い熱心で、立派な業績を上げたとか、すごい仕事を成し遂げた、出世した人を聞いた事はない。たまにはいいが、そういったことを通じて、自分の顔を広げたいという若い人もいるだろうが、どういった人に会って、その人からどんな話を聞きたいのか、きちんと目的と成果を考えて、会合に出席すべきだと思う。隣に座っている人とゴルフや趣味の話をしても何の意味もない。本当の人脈は、仕事を通じてしか築く事は出来ない。

営業マンのリーダーであるべきなのに、部下のことよりも、本社のえらいさんに気に入られたいと思っている人間は必ずいる。

数字を一目見て問題点を把握する能力は経営者にとって必須だろう。経理、財務からあがってきた数字をチェックし、報告を聞き、さらに自分の目で読む。

今の子供は、競争しないがゆえに、「頑張ろう」という意識も育っていない。子供はそもそも、自分がどのような人間かを知らない存在だ。他の人との比較で強みや弱みを知る。

経営者の金の使い方は社員はちゃんと見ているし、お客様も見ている。銀行は、実にシビアなところだから、生活がハデになった経営者には金を貸さなくなる。これは当たり前の事です。「ゴルフが上手で、ひげをはやしている経営者には金を貸すな」という銀行マンもいる。

MBA、キャリアアップの意欲は大切だが、キャリアを振りかざして、周りについてこいというのはチームワークではない。嫌われるだけだ。

柳井正の希望を持とう (朝日新書)